Waxno

テーラーの仕事場を読み解く

仕立てを頼む前に、スーツを理解する。

ビスポークは、内輪の知識を試す場ではなく、目に見える選択の積み重ねです。シルエット、生地、構造を知れば、各フィッティングが実りある対話になります。

仕立てを頼む前に、スーツを理解する。. ビスポークは、内輪の知識を試す場ではなく、目に見える選択の積み重ねです。シルエット、生地、構造を知れば、各フィッティングが実りある対話になります。
目次・セクション
01

シルエットと構造

シングル、ダブル、ツーピース、スリーピースと用途別のスーツ様式を比較します。

シングル、ダブル、ツーピース、スリーピースと用途別のスーツ様式を比較します。

スーツの種類

シングルブレステッドは幅広く使え、ダブルブレステッドは力強く格式ある前面をつくります。ディナーウェアには夜の装い独自の決まりがあります。

見るべき点

ボタン位置、ラペルの線、着丈、トラウザーズの股上。

なぜ大切か

これらが一体となって、見かけの身長、幅、格式を決めます。

どう伝えるか

「仕事に使える、均整の取れたシングルブレステッドのスーツを希望します。」

ジャケットの構造

カラー、ラペル、肩、胸、ウエスト、クォーター、ポケット、袖、ベントがつながり、一つのシルエットを形づくります。

見るべき点

首に沿うカラーと、ねじれず自然に垂れる前身頃。

なぜ大切か

流行の細部を一つ加えることより、全体のきれいなバランスが重要です。

トラウザーズ

ウエストバンド、股上、プリーツ、尻、腿、膝、外側の縫い目、裾のブレイクが、快適さと靴へ続く線を左右します。

見るべき点

水平なウエストバンドと、素直に落ちるクリース。

なぜ大切か

良いトラウザーズは、余分な布が崩れ寄ることなく身体の動きについてきます。

02

ラペル、肩、ポケット、ベント

ラペル(Lapel)、肩、ベント(Vent)、ポケット、襟、カフ、ボタンなどの構造を見分けます。

ラペル(Lapel)、肩、ベント(Vent)、ポケット、襟、カフ、ボタンなどの構造を見分けます。

ラペル

ノッチドラペルは汎用性が高く、ピークドラペルは威厳を示し、ショールカラーは連続した格式ある曲線を描きます。

見るべき点

胸や頭の大きさに対するゴージ位置、ラペルの張り出し、幅。

なぜ大切か

単独の数値に従うより、全体の比率が大切です。

どう伝えるか

「中程度のノッチドラペルと、少し丸みを持たせたものを比べられますか。」

肩の構造

ナチュラル、ソフト、ロープド、エクステンデッドの各肩は、パッド量、袖山の表情、見かけの肩幅が異なります。

見るべき点

へこみ、つぶれ、過度な張り出しのない、滑らかな線。

なぜ大切か

肩がジャケットの骨格を決めます。

ポケットとボタン

フラップ、両玉縁、パッチ、チェンジポケットは、控えめな格式から気軽な実用性へと印象が変わります。ボタンの素材と間隔も近くで確認する価値があります。

見るべき点

水平なポケット、整った玉縁、しっかりしたボタンの根巻き。

なぜ大切か

細部は、その服に求める格式と合っているべきです。

ベント

ノーベントは端正ですが動きを制限します。センターベントは簡潔で、サイドベンツは動きやすさとポケットへのアクセスを保ちます。

見るべき点

自然に立ったとき閉じたままのベント。

なぜ大切か

ベントが開く場合、多くはバランスかフィットに問題があります。

03

シャツ、ウエストコートと内側の層

ジャケット、トラウザーズ、シャツ、ウエストコートの構造が形と着心地をどう変えるか理解します。

カラー

ワイドスプレッド、ポイント、ボタンダウン、ワンピースカラーは顔の見せ方が異なり、選ぶネクタイの結び目に合う空間も必要です。

カフ

バレルカフは実用的です。ダブルカフは格式が上がり、カフリンクスが必要です。腕時計を通せても手をのみ込まない周囲寸法にします。

シャツの仕立て

ヨーク、前立て、ガセット、縫い目、ボタン、カラーステイを確認します。動ける余裕を保ちながら、胴回りが大きく膨らまないフィットが理想です。

ウエストコート

シングルでもダブルでも、トラウザーズのウエストバンドを覆い、座ったときも乱れずに収まるべきです。

04

生地、織り、目付と気候

織り(Weave)、目付、質感、気候への適性、格式を比較します。

織り(Weave)、目付、質感、気候への適性、格式を比較します。

繊維

梳毛ウールは端正で汎用性が高く、フランネルは柔らかく艶を抑え、リネンは通気性がよい一方でしわになります。コットンは丈夫で、カシミヤは柔らかさを加えますが丁寧な手入れが要ります。

織りと質感

ツイル、ホップサック、フレスコ、平織り、起毛仕上げによって、通気、ドレープ、見た目の奥行きが変わります。

目付

軽い生地は涼しくても、しわが目立つことがあります。重い生地はきれいに垂れやすい反面、熱を抱えます。気候と空調の両方を考えます。

場面

滑らかな濃色生地は格式高く見え、開いた質感や見える織り目は印象を和らげます。季節だけでなく、その場に合わせて選びます。

05

ジャケット内部に隠れた構造

接着芯、ハーフキャンバス、フルキャンバスと、ジャケット内部の仕上げを比較します。

接着芯

接着材で前身頃を支えます。手に取りやすく安定していますが、通常は身体へ自然になじみにくく、作りが悪いと浮きや気泡が出ることがあります。

ハーフキャンバス

胸を縫い付けたキャンバスで支え、前身頃下部には接着芯を使い、形、価格、重さの均衡を図ります。

フルキャンバス

前身頃全体に浮かせたキャンバスを通し、熟練した成形を可能にするとともに、時間をかけて着る人になじませます。

仕上げ

裏地、ピックステッチ、ボタンホール、縫い代、内ポケットには丁寧さが表れます。ただし、装飾だけで構造の確かさを証明することはできません。

06

採寸、フィッティングと典型的な問題

採寸、フィッティング(Fitting)、全体のバランスと典型的なフィット不良を読み取ります。

採寸、フィッティング(Fitting)、全体のバランスと典型的なフィット不良を読み取ります。

採寸

作り手は身体、姿勢、左右差を記録し、それを型紙で解釈します。数字を完成品そのものとは考えません。

仮縫いの段階

しつけ状態の仮縫いでバランスとゆとりを定め、後の仮縫いでカラー、袖、腰、トラウザーズの線、仕上げを詰めます。

ジャケットの警告サイン

襟抜け、肩のくぼみ、胸の浮き、ボタン周りの引きつれ、交差するベント、左右の前裾差には、それぞれ異なる原因があります。

トラウザーズの警告サイン

股の食い込み、笑うポケット、斜めの引きじわ、尻のたるみ、裾の過剰なブレイクは、裾上げを確定する前に診断します。

07

何を尋ね、どう伝えるか

採寸から納品まで、見る点、尋ねる点、伝える言葉を整理します。

用途から始める

着用頻度、気候、ドレスコード、出張の必要、上下を別々にも使うかを伝えます。

トレードオフを尋ねる

この生地は座った後どの程度戻りますか。肩を柔らかくすると何が変わりますか。後から直せる部分はどこですか。

正確な言葉を使う

「襟元はきれいに沿わせ、ラペル幅は中程度にし、座ってもシャツが隠れるだけの股上を希望します。」

提案を受け入れる

「求めているのはその効果です。こちらの体型と御店のハウススタイルなら、どのように実現しますか。」

画像を拡大して見る