目次・セクション
シルエットと構造
シングル、ダブル、ツーピース、スリーピースと用途別のスーツ様式を比較します。
スーツの種類
シングルブレステッドは幅広く使え、ダブルブレステッドは力強く格式ある前面をつくります。ディナーウェアには夜の装い独自の決まりがあります。
ボタン位置、ラペルの線、着丈、トラウザーズの股上。
これらが一体となって、見かけの身長、幅、格式を決めます。
「仕事に使える、均整の取れたシングルブレステッドのスーツを希望します。」
ジャケットの構造
カラー、ラペル、肩、胸、ウエスト、クォーター、ポケット、袖、ベントがつながり、一つのシルエットを形づくります。
首に沿うカラーと、ねじれず自然に垂れる前身頃。
流行の細部を一つ加えることより、全体のきれいなバランスが重要です。
トラウザーズ
ウエストバンド、股上、プリーツ、尻、腿、膝、外側の縫い目、裾のブレイクが、快適さと靴へ続く線を左右します。
水平なウエストバンドと、素直に落ちるクリース。
良いトラウザーズは、余分な布が崩れ寄ることなく身体の動きについてきます。
ラペル、肩、ポケット、ベント
ラペル(Lapel)、肩、ベント(Vent)、ポケット、襟、カフ、ボタンなどの構造を見分けます。
ラペル
ノッチドラペルは汎用性が高く、ピークドラペルは威厳を示し、ショールカラーは連続した格式ある曲線を描きます。
胸や頭の大きさに対するゴージ位置、ラペルの張り出し、幅。
単独の数値に従うより、全体の比率が大切です。
「中程度のノッチドラペルと、少し丸みを持たせたものを比べられますか。」
肩の構造
ナチュラル、ソフト、ロープド、エクステンデッドの各肩は、パッド量、袖山の表情、見かけの肩幅が異なります。
へこみ、つぶれ、過度な張り出しのない、滑らかな線。
肩がジャケットの骨格を決めます。
ポケットとボタン
フラップ、両玉縁、パッチ、チェンジポケットは、控えめな格式から気軽な実用性へと印象が変わります。ボタンの素材と間隔も近くで確認する価値があります。
水平なポケット、整った玉縁、しっかりしたボタンの根巻き。
細部は、その服に求める格式と合っているべきです。
ベント
ノーベントは端正ですが動きを制限します。センターベントは簡潔で、サイドベンツは動きやすさとポケットへのアクセスを保ちます。
自然に立ったとき閉じたままのベント。
ベントが開く場合、多くはバランスかフィットに問題があります。
シャツ、ウエストコートと内側の層
ジャケット、トラウザーズ、シャツ、ウエストコートの構造が形と着心地をどう変えるか理解します。
カラー
ワイドスプレッド、ポイント、ボタンダウン、ワンピースカラーは顔の見せ方が異なり、選ぶネクタイの結び目に合う空間も必要です。
カフ
バレルカフは実用的です。ダブルカフは格式が上がり、カフリンクスが必要です。腕時計を通せても手をのみ込まない周囲寸法にします。
シャツの仕立て
ヨーク、前立て、ガセット、縫い目、ボタン、カラーステイを確認します。動ける余裕を保ちながら、胴回りが大きく膨らまないフィットが理想です。
ウエストコート
シングルでもダブルでも、トラウザーズのウエストバンドを覆い、座ったときも乱れずに収まるべきです。
生地、織り、目付と気候
織り(Weave)、目付、質感、気候への適性、格式を比較します。
繊維
梳毛ウールは端正で汎用性が高く、フランネルは柔らかく艶を抑え、リネンは通気性がよい一方でしわになります。コットンは丈夫で、カシミヤは柔らかさを加えますが丁寧な手入れが要ります。
織りと質感
ツイル、ホップサック、フレスコ、平織り、起毛仕上げによって、通気、ドレープ、見た目の奥行きが変わります。
目付
軽い生地は涼しくても、しわが目立つことがあります。重い生地はきれいに垂れやすい反面、熱を抱えます。気候と空調の両方を考えます。
場面
滑らかな濃色生地は格式高く見え、開いた質感や見える織り目は印象を和らげます。季節だけでなく、その場に合わせて選びます。
ジャケット内部に隠れた構造
接着芯、ハーフキャンバス、フルキャンバスと、ジャケット内部の仕上げを比較します。
接着芯
接着材で前身頃を支えます。手に取りやすく安定していますが、通常は身体へ自然になじみにくく、作りが悪いと浮きや気泡が出ることがあります。
ハーフキャンバス
胸を縫い付けたキャンバスで支え、前身頃下部には接着芯を使い、形、価格、重さの均衡を図ります。
フルキャンバス
前身頃全体に浮かせたキャンバスを通し、熟練した成形を可能にするとともに、時間をかけて着る人になじませます。
仕上げ
裏地、ピックステッチ、ボタンホール、縫い代、内ポケットには丁寧さが表れます。ただし、装飾だけで構造の確かさを証明することはできません。
採寸、フィッティングと典型的な問題
採寸、フィッティング(Fitting)、全体のバランスと典型的なフィット不良を読み取ります。
採寸
作り手は身体、姿勢、左右差を記録し、それを型紙で解釈します。数字を完成品そのものとは考えません。
仮縫いの段階
しつけ状態の仮縫いでバランスとゆとりを定め、後の仮縫いでカラー、袖、腰、トラウザーズの線、仕上げを詰めます。
ジャケットの警告サイン
襟抜け、肩のくぼみ、胸の浮き、ボタン周りの引きつれ、交差するベント、左右の前裾差には、それぞれ異なる原因があります。
トラウザーズの警告サイン
股の食い込み、笑うポケット、斜めの引きじわ、尻のたるみ、裾の過剰なブレイクは、裾上げを確定する前に診断します。
何を尋ね、どう伝えるか
採寸から納品まで、見る点、尋ねる点、伝える言葉を整理します。
用途から始める
着用頻度、気候、ドレスコード、出張の必要、上下を別々にも使うかを伝えます。
トレードオフを尋ねる
この生地は座った後どの程度戻りますか。肩を柔らかくすると何が変わりますか。後から直せる部分はどこですか。
正確な言葉を使う
「襟元はきれいに沿わせ、ラペル幅は中程度にし、座ってもシャツが隠れるだけの股上を希望します。」
提案を受け入れる
「求めているのはその効果です。こちらの体型と御店のハウススタイルなら、どのように実現しますか。」
